塚本穴骨 AR キャンバスアート 「幻術階」 制作インタビュー

narrativは、アーティストの方と、商品の世界観を拡張するARをまとったグッズ = ARグッズを制作・紹介・販売を行うコラボレーションプロジェクトをスタートしました。第一弾は、画家、イラストレーターの塚本穴骨さんをコラボレーションアーティストに迎え、「塚本穴骨 × narrativ AR キャンバス」を制作いたしました。

そこで本作品がどのような制作プロセスを経て生まれたのか、塚本穴骨さんにお話を伺います。

 

塚本穴骨 AR キャンバスアート
「幻術階」
 

 

 

 

── まずは自己紹介をお願いします。

塚本穴骨と申します。Twitterを中心に作品を発表している画家、イラストレーターです。写真や過去の自作イラストを用いたテクスチャによるイラスト的な表現が得意です。制作のテーマは夢や幻、うつろいやすいものをキャラクターなどを通して表現しています。

  • 塚本穴骨(Anabone Tsukamoto) - 画家・イラストレーター

    2015年からTwitterにて活動開始。無意識や夢などの内なるものとキャラクターに関心を持つ。 テクスチャによる偶然性を活かしながら、さまざまな質感や色彩でキャラクターの持つ内面を表現する。

作品について

── 本作品の概要を教えてください。

キャンバスにメインのミステリアスなイラストをプリントしてあり、ARを表示させることによって断片的な物語が始まります。画面上のUIをタップすることにより、階層ごとに違うイラスト、文章と遭遇します。

 

── このアイデアにたどり着くまでの背景や、何かきっかけはありますか。

AR、拡張現実の企画ということで、自身の制作のテーマである夢・幻の物語の世界へARを用いての参加、体験をしてもらいたいというのがきっかけでした。2016年にイラスト集「幻術階」を制作し、そのテーマが「ゆめまぼろしの階層」だったので、今回イラストや文章をリメイクしてARというかたちで蘇らせました。

 イラスト集 「幻術階」

 

── 本作品のテーマを教えてください。

「読むことが出来る絵画」というのがテーマです。一枚の絵から物語や、また違う一枚一枚が広がっていく。その体験が終わったあとに、本来の物質的なイラスト、キャンバスの印象が変わっていくのを期待しています。

 

── 特にどんな方に作品を届けたいですか。

10代~20代の女性の方に絵を見ていただくことが多いです。可愛いもの、不思議な雰囲気をその方たちに届けられたら嬉しいです。

 

表現・演出について

── 表現・演出にこめられた意味やねらいを教えてください。

一つ一つのシーンを丁寧に観ていただけるように、一枚一枚のイラストにアニメーションを加えたり、エフェクトに動きを加えました。



── 見どころやは一番こだわったポイントはどんなところでしょうか。

見どころとなるのは、主役のキャンバスイラストもそうですが細部までテクスチャやエフェクトでこだわっているので、さまざまな模様が見えると思います。ぜひARに近づいていただき、細かなところまで見ていただきたいです。

一番こだわったポイントは、多すぎず、少なすぎない情報量。いつもイラストにテクスチャを加え、情報量を増やしています。そこから引き算をして、ここにこれがあったら綺麗に見えるという見栄えの良さ。

 

── 苦労した部分やチャレンジした部分はどんなところでしょうか。

視認性を高めるために、フォント選びや画像がどう見えるかを何回も試行錯誤を繰り返しました。

 

制作フロー

1. イラスト制作

Adobe Photoshopでイラストを制作します。こちらのSSはイラスト集「幻術階」の表紙を描き直し、加筆しているところです。

 

 

2. コンテンツ素材制作

水彩画からエフェクトづくりをしました。様々な形、色でエフェクトを作り、スキャンしてから切り抜き、加工をしました。

 

 

3. ARコンテンツ実装

Unityを利用してARコンテンツの実装を行います。こちらの作業は、narrativスタッフのawai が担当しています。イラストやエフェクトに対してアニメーションを追加したり、ボタンをタップすると、階層が変化し不規則にイラストや、文章を表示する仕組みなどを実装しています。

 

4. グッズとARコンテンツの調整

コンテンツの実装がある程度進むと、グッズであるキャンバスと組み合わせて、ARコンテンツの調整を行っていきます。実際のキャンバスと一緒に見ることで得た気づきをもとに見栄えを整えたり、スマートフォンで操作してみて、全体の体験の改善を行っていきます。

 

 

 

最後に

── これからの展開、続編などすでに考えていることやプロジェクトを通して今後の活動につながるヒントや発見があったら教えてください。

2020年のNEWVIEW 制作した「春と修羅・序」、今回制作した「幻術階」を通して、ARでは現実の絵画でなかなか難しい展開とレイヤーという二つの表現方法があることを発見しました。キャンバスプリントはグッズとしても作品としても気軽に作られるようになると思うので、そこからARで展開していくのはとても面白い表現なのではないかと思っています。

AR Illustration 「春と修羅・序」

 

── 最後に一言お願いします。

「幻術階」、ぜひ実際に体験していただきたいです!とても面白い出来だと思います。「幻術階」を通して感じたことなど、なんでもお聞きしたいです。制作にご協力してくださった、harukanusさん、awaiさんをはじめ Psychic VR Labのみなさま、ありがとうございました!

 

塚本穴骨 AR キャンバスアート
「幻術階」

 

 

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